近年,擬人化エージェントがユーザインタフェースとして利用されたり,ペットロボットや掃除ロボットが一般家庭に普及するなど,エージェントやロボットが一般ユーザにとっても身近な存在になってきています.さらに,その役割も多様化し,エージェントやロボットが人間と協力して作業をしたり,人間同士のコミュニケーションを仲介するといった,人間社会をより豊かにする実用的なアプリケーションが生まれてきています.このような状況の中で,人間とエージェントやロボットが,どのように上手くつき合っていくのか,またそのためには,人間とエージェントとの間に,どのようなインタラクションを設計すればよいのかという新しい工学的課題が生まれています.
この課題に挑戦する研究開発領域であるHAI(Human-Agent Interaction)が,日本を中心に活発になってきています.過去7年間に開催されたHAIシンポジウムでは,延べ700名以上の参加者がこの新しい分野の研究について活発な議論を行いました.そして,今年開催するHAI-2013では,さらなる学術的な深化と産学間の交流をはかることを目指し,人工知能,ロボティクス,認知科学,社会心理学などの様々な分野におけるHAIの最先端の研究開発に関する発表を広く募集します.
対象分野
HAIに関する理論的・実証的研究,各種応用システム開発事例などを広く募集します.たとえば,以下のようなテーマが該当しますが,これに限定されるものではありません.
- 人とインタラクションを行うエージェント/ロボットの設計・実現方法
- エージェント/ロボットを介した人間同士のコミュニケーション
- HAIにおける認知科学,社会心理学,発達心理学
- エージェントによるヒューマンインタフェース
- 人間とエージェント/ロボットの相互適応
- 適応・学習を可能にするインタラクションの設計
- エージェント/ロボットのアピアランス,表情,ジェスチャーの設計
- 人間とエージェントの関係性
- エージェント/ロボットの身体性
- インタラクションを可能にする知能の解明と実現
- インタラクションを通して生まれる知能の解明と実現
- 認知発達ロボティクス
- 記号創発ロボティクス
- HAIの要素技術
- ユーザ状態の推定/学習
- エージェントの適応/学習
- エージェントの音声合成/認識
- CMC(Computer Mediated Communication)環境における身体的なインタラクション
- HAIの応用事例 など
過去のプロシーディングス(こちら)もご参照ください.
HAI-2012 Outstanding Research Award授賞者のお知らせ
2012年12月のHAIシンポジウム2012では,以下のいずれかの点で優れた発表に対して,Outstanding Research Awardを贈呈いたしました.
- HAI研究に対して新しい視点を与える研究である(研究の新規性)
- HAI研究に大きな影響を与えうる研究である(研究の影響力)
- HAI研究として完成度の高い研究である(研究の完成度)
プログラム実行委員会による審査の結果,下記の研究がOutstanding Research Awardに決定致しました.おめでとうございます.
- 最優秀賞:
- Talking-Ally: 聞き手性をリソースとする発話生成系の実現にむけて
小田原雄紀,蔵田洋平,大島直樹,P.Ravindra S. De Silva,岡田美智男 (豊橋技術科学大学) - 優秀賞:
- 「置いてけぼり」を救う多人数会話活性化ロボット
松山洋一,秋葉巌,渡邉萌実,齋藤彰弘,小林哲則 (早稲田大学) - 優秀賞:
- ヒューマンロボットインタラクションにおけるsocial touch
福田玄明*1,塩見昌裕*2,中川佳弥子*2*3,植田一博*4 (*1 理化学研究所,*2 ATR,*3 大阪大学,*4 東京大学)