HAIシンポジウム2014開催にあたって | |
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この度は,HAIシンポジウム2014へのご参加を頂き,誠にありがとうございます. 情報システムの多様化と対話型処理の普及により,人と情報システムとのインタラクションは多彩かつ重要になる一方です.このときの人によるインタラクションの方略は,対象がどのような存在であるかということにも左右されると考えられます.したがって,情報システムが人にとって何らかの意味で“人らしさ”を感じさせるような擬人性を持つ場合,それに特有の人のインタラクション方略をうまく活用することにより,インタラクションの形態や円滑化の点で,通常のインタラクションとは異なる新たな方法論を生み出せる可能性が期待されます.HAI(Human-Agent Interaction)の研究は,このような期待に基づいて,人間自身はもちろん,ロボットや擬人化エージェント,さらにはぬいぐるみや愛着のある道具のようなものまで,およそ人が擬人性を感じ得る対象すべてを“エージェント”と呼び,それが人との間で織り成す様々な形態のインタラクションを対象に,擬人性の要因や利点,それを活用したエージェントやインタラクションのデザイン等について,個々のアプリケーションから対象のカテゴリやドメインに依存しない普遍的なレベルまで,様々な一般性を持つ知見を求めようとする試みであるといえます. 本シンポジウムは,このような研究テーマに興味を持った研究者が,人工知能学会や電子情報通信学会,情報処理学会等の研究会で定期的に企画していたHAI合同セッションに端を発します.発足当時,HAIという用語を目にすることはまだほとんどなく,本シンポジウムは,国内はもちろん,おそらく世界でも初めてHAIを冠したシンポジウムであったかと思います.最近は学会などでもHAIという言葉がテーマ名やセッション名として広く使われるようになり,HAIが研究分野の一つとして確立しつつあることを実感します.本シンポジウム自体も,2006年以降は現在のような独立したシンポジウムとして開催される形となり,毎年多くの参加者の方々のご支持を頂きながら開催を重ねて参りました.昨年からは,本シンポジウムに加えて新たに国際会議“International Conference on Human-Agent Interaction (HAI)”も発足し,去る10月には第2回目の会議が開催されています. このような活動を通じてHAIに関する研究者のコミュニティも着実に発展しており,今年度から,HAIのコミュニティを母体とする大型の研究プロジェクトとして,文部科学省科学研究費新学術領域研究「認知的インタラクションデザイン学:意思疎通のモデル論的理解と人工物設計への応用」(領域代表:植田一博 東京大学教授)が開始されました.そこで,今回のシンポジウムでは,プロジェクトの主要メンバの方々にその具体的狙いについてご紹介頂く特別セッションを企画致しております. さらに,今回はエンタテイメント・ロボット・フォーラム(ERF)にも共催の労をお取り頂いております.共催にあたって,ERFの方々には,企業のHAI研究の最前線で活躍されている方々に最近の状況についてご紹介頂くERF特別セッションや,HAI研究のプラットフォームとして有用と思われる機器類の企業展示を企画頂きました.この場をお借りして厚くお礼を申し上げます. HAIの研究課題には,工学, 認知科学,社会科学等,多様な分野にまたがる学際的な取り組みが重要となります.本シンポジウムが,HAIに興味を持つ学生や研究者の方々に分野を問わず幅広くご参加頂き,建設的で示唆に富む議論を楽しんで頂ける場となれば誠に幸いに存じます. 2014年12月13日
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