2015年12月5日(土),6日(日) 東京大学 駒場キャンパス 21KOMCEE

おかげさまで130名の参加者にお越しいただき,盛況のうちに終えることができました.

運営委員長挨拶

 この10年足らずの間に『Human-Agent Interaction(HAI)』という言葉が,国内外の学術イベントのセッション名や論文特集号,科研費を始めとする研究助成金のキーワードやテーマとしてごく自然に使われ,多くの研究者たちが「HAIとは何か」について自分の言葉で語れるようになってきました.このことはHAIという概念が広く浸透したと同時に,HAI研究に主体的に取り組む研究者が増えてきたからに他なりません.

 今回のHAIシンポジウム2015は,このシンポジウムが最初に開催された2006年から数えて10回目の節目にあたります.そこで参加者の皆様には,HAI研究の創生期にあたるこの10年有余のHAI研究の発展と私たちを取り巻く環境の変化を踏まえ,これからのHAI研究の展望と方向性を語り合う場として今回のシンポジウムをおおいに活かしていただきたいと思います.

 これまでの10年有余のHAI研究の歩みを通して得られた多くの知見を今改めて客観的な視点でみると,1つの大きなことに気づかされます.それは,私たちが一般の社会生活者として過ごしている日常の認知的・社会的活動こそがHAIの本質なのではないかということです.人と関わり合い,共感したり調和・適応したり,人を信じたり期待したり,そしてときに人を裏切ったり騙したり,教えたり教わったり,恨んだり祈ったり,駆け引きしたりなどと,その例はとても挙げきれません.ですがどれにも共通しているのは,私たち人(Human)の日常生活はいつも「誰か」(Agent)と向かい合い,対話(Interaction)をしているということです.この事実を踏まえれば,現象分析や実験から得られたデータに基づき理論やモデルを構築していく学術的側面の深化と,HAI研究を実社会における日常的な活動に還元していく実践的応用の側面への展開を両輪として,これからのHAI研究は進められていくべきなのかもしれません.その結果,下記のような対象分野のリストももっと多くのフィールドや対象へと広がっていく,すなわちHAI研究はより学術的・社会的価値を増し,さらに発展していくのではないかと期待しています.

 このHAIシンポジウムは,HAI研究者のためのものです.この数年の中でHAI研究を始めた人も,まだHAIという言葉さえ浸透していなかった頃から取り組んできた人も,等しくこのシンポジウムを通して未来を語り,それを実現していく足がかりにしていただきたいと願います.特に自由な未来が広がっている若い人たちには,このシンポジウムを積極的に活用し,どんどん発言・行動してください.そして次の10年の主役になってください.その第1歩として,HAIシンポジウム2015を次の10年を創るマイルストーンにしていきましょう.

竹内勇剛(静岡大学)

対象分野

HAIに関する理論的・実証的研究,各種応用システム開発事例などを広く募集します.たとえば,以下のようなテーマが該当しますが,これに限定されるものではありません.

過去のプロシーディングス(こちら)もご参照ください.

HAI-2014 Outstanding Research Award授賞者のお知らせ

2014年12月のHAIシンポジウム2014では,以下のいずれかの点で優れた発表に対してOutstanding Research AwardおよびImpressive Poster Awardを選出いたしました.

プログラム実行委員会による審査の結果,下記の研究に決定いたしました.おめでとうございます.

Outstanding Research Award:
メタ相手モデルがエージェントとのインタラクション時の思考過程へ与える影響
 浅田麻菜,伊藤毅志(電気通信大学)
Outstanding Research Award:
子どもによるロボットへのいじめ行為の要因探索
 浦谷尊之,野村竜也(龍谷大学),神田崇行,城所宏行,末廣芳隆(ATR),松本和剛(龍谷大学),山田幸恵(東海大学)
Impressive Poster Award:
Pelat:おぼつかない振る舞いが生みだす「場」の構成原理を探る
 伊藤夏樹,堀田大地,竹田泰隆,P.Ravindra S. De Silva,岡田美智男(豊技大)
Impressive Poster Award:
ぬいぐるみロボットの位置関係に応じた息遣い表現による親密感の変化に関する検討
中谷友香梨,吉田直人,米澤朋子(関西大)