発表番号G-25
発表タイトル リズムの予測逸脱による励起感情表出エージェントとの共聴におけるユーザの共感
筆者氏名・所属 石田 真子 (関西大学)
西野 歩真 (関西大学)
米澤 朋子 (関西大学)
アブストラクト 本研究では,エージェントとの音楽共聴体験によって他者間同士の音楽コミュニケーションに生まれる共感や高揚感などをもたらすことを目指す.これまで,(1)音楽コミュニケーションを探る最初の段階として音楽要素の中でもリズムに着目し,即時に理解可能なレベルの単調なリズム進行における予測逸脱により,人間の音楽知覚と同様に興奮やリズムパターンの繰り返しに快感を得るエージェントと,(2)複雑度(4拍子を基準に設定)の高いリズムへの突然変化に対して,弱い困惑(人間が違和感を覚えた際に表出する程度)を表現するエージェントを実装した.これらの表現は共にユーザに共感し合う感覚を与えることが確認された.本稿ではこれらのエージェントの表現を統合し,単調なリズムの予測逸脱量に応じた快感や興奮,複雑なリズムの予測逸脱量に応じた困惑を表現するエージェントを実装した.そして,統合手法がユーザに共感し合う感覚やエージェントの人間らしさを感じさせる効果を高めるか検証を行った.その結果,エージェントの快感・興奮の表情遷移はユーザにエージェントの表情の豊かさを感じさせ,困惑表情遷移はユーザにエージェントと共感し合う感覚やリズムに聴き入る感覚を与えたり,リズムに対する心地よさ,共聴体験の楽しみを向上させることが確認された.また,全体として,過去に確認された快感や興奮表情遷移の有効性以上に困惑表情遷移の効果量が高かったことから,影響の強度を鑑みて使用シーンや強度を選択していく必要がある.
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