発表番号G-13
発表タイトル 人はロボットの選好を読めるか
筆者氏名・所属 吉川 聡一郎(岐阜大学)
小嶋 秀樹(東北大学)
池田 尊司(金沢大学)
熊崎 博一(国立精神・神経医療研究センター)
寺田 和憲(岐阜大学)
アブストラクト 社会生活では相手の選好を推定し,特定の話題を避ける,相手の趣味に合わせる,適切なプレゼントを渡すなど,「空気を読んで」行動することが求められる.本研究では,人とロボットの間で相互に空気を読んだ行動を実現できるかどうかを調べるために,実在する特定の個人の選好を搭載した自律ロボットPreferを開発し,人がロボットの選好を推定できるかどうかを確認する実験を行った.選好の対象領域として自動車を選択した.Preferには特定の個人の選好を搭載した.自動車の選好を説明するための潜在要因を同定するために,112種類の自動車の画像に対して,好き嫌いとその理由を回答するアンケートを行い,候補となる特徴要因を求めた.次にリッカート法と因子分析を用いて5次元の要因を決定した.次に,112種類の自動車に対して,好き嫌いと5次元の要因それぞれに対する同意の程度を回答するアンケートを行い,ロボットに搭載する選好の候補を作成した.次に決定木(CART),ランダムフォレスト,SVMを用いた機械学習手法によって,判別が最も容易な選好を有する個人を同定し,この個人の選好をロボットに搭載した.人を対象として,選好学習と未知刺激に対する選好判別テストを行う実験を実施した.実験参加者は89個のミニカーをロボットの目前に順に提示し,ロボットの行動からロボットの選好を推定するように求められた.ロボットは搭載された選好に基づき自動的に接近と回避の行動を生成した.ミニカーの認識は予め学習したCNNによって行った.次に,23個のミニカーを実験者が実験参加者に対して順に提示し,ロボットの好き嫌いを回答することを求めた.実験には27人が参加した.実験の結果,テスト課題の識別精度は0.69であった.このことから,人はロボットの選好を推定することが可能であることが分かった.
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